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ゴムの打ち抜き加工を解説
ゴムの加工方法には、金型を用いる方法や型を使わずに切り抜き・削り出すなど数多くの加工方法があります。
そして、ゴム材料・完成時の形状・生産数・その他諸々の事情によって、最適な加工方法は変わってきます。
今回は代表的な「打ち抜き加工」を中心に、ゴム加工の種類や工程などをご紹介します。
ゴムの打ち抜き加工とは?
複雑な形状の部品作成に適しているため、製品設計の自由度が大幅に向上
② コストの効率化
少量の生産であればコストが低い
③ 迅速な製造
迅速に部品を製造できる方法のため、市場投入までの時間短縮が可能
④ 多様な材料に対応
様々な種類のゴムやエラストマーに対応できる
⑤ 品質と精度
高い精度と一貫性を持つ製品を製造するのに適している
打ち抜き加工とは、ダイを使用してクッキーのように素材を特定の形状に切り抜く方法です。
ゴム以外にも金属・プラスチック・紙など様々な材料に適用される方法で、一般的にはブレス機を使って行われます。
材料であるゴムやエラストマーは、家庭用品・医療機器・自動車産業・工業製品などの幅広い分野で使用されており、打ち抜き加工はこれらの産業で重要な役割を果たしています。
ゴムの打ち抜き加工のメリット・デメリット
ゴムの打ち抜き加工には、メリットもあればデメリットもあります。
メリット
主なメリットは以下の通りです。
・高い精度と一貫性
・ゴムをはじめ幅広い材料に対応
・デザインの自由度が高い
・少量生産にも向いている
高い精度とデザインの自由度を持つダイは比較的安価で制作でき、一度用意すれば何度も再生産可能です。
さらに迅速に制作できることもメリットであることから、素早く納品して欲しい製品や、少量生産に向いています。
デメリット
主なデメリットは以下の通りです。
・材料の無駄が出る
・材料の厚みに制限がある
・平たい素材の加工しかできない
切断されて残った部分が廃棄物になって材料の無駄が発生したり、厚みのある材料は加工できないこともあります。
形を変えたり大量生産するにはコストがかかってしまうことがデメリットと言えます。
ゴムの打ち抜き加工の材料
ゴムには天然ゴムと合成ゴムがありますが、加工においては材質を問わず打ち抜き加工を行うことが可能です。
ゴム材料の例として以下のようなものがあります。
・天然ゴム(NR)
・クロロプレンゴム(CR)
・ニトリルゴム(NBR)
・エチレンプロピレンゴム(EP)
・ウレタンゴム(U)
・シリコンゴム(SI)
・フッ素ゴム(FKM)
・パーフルオロエラストマー(FFKM)
・アクリルゴム(ACM)
・水添加ニトリルゴム(HNBR)
これらのゴム材料の特徴・特性によって最適な素材を選ぶことが重要です。
ゴムの打ち抜き加工の工程
① 要求仕様の確認
製品の用途・使用環境・必要な特性などを確認する
② 材料の選定
要求仕様に最も適したゴム材料を選定する
③ 設計図の作成
CADソフトで製品の詳細な設計図面を作成する
④ 金型設計
製品の形状を成形するための金型を設計する
⑤ 量産準備
製造ラインの準備を行う
⑥ 量産開始
品質を管理しながら継続して製品を製造する
ゴム加工の工程の中で、設計は非常に重要な役割を持っています。
設計工程は、製品の性能や品質に直結する部分です。細部にわたる綿密な計画と実行が求められます。
① 材料の選定
製品の用途や要求性能に合わせてゴム材料を選択します。
天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴムなど、様々な種類のゴム材料があり、それぞれ特性が異なります。
製品に合わせて必要な厚さのゴム板を選択しますが、厚すぎると打ち抜きが困難になり、薄すぎると強度が不足する可能性があるため注意しています。
②ダイの制作
製品の形状から刃と受け板で構成されたダイを制作します。刃物の形状は、製品の精度や寸法公差に影響するため、高精度な加工が必要です。
一般的には鋼鉄が使われますが、製品の精度や耐摩耗性などの要求性能に合わせて、他の材質を使用する場合もあります。
③ゴム板の裁断・打ち抜き
寸法精度は製品の寸法精度に影響するため重要な工程で、ダイよりも大きめのゴム板を裁断機で裁断します。
プレス機にセットしたらパンチで押さえつけ、ダイで加圧することで打ち抜けます。
④仕上げ
打ち抜いた製品は表面処理や検査を行います。
ゴム加工で完成した製品の検査・管理工程は、品質保持や顧客の要求を満たすためにもとても重要な作業です。
・製品の物理的特性が仕様を満たしているか確認する
・製品の機能が正しく動作するか確認する
・製品が使用される環境条件で正常に機能するか確認する
・出荷前に最終的な品質確認を行い不良品の出荷を防ぐ
すべての加工・検査工程が完了したら、基準をクリアした製品を出荷します。
ゴムの抜き加工の用途
抜き加工されたゴム製品は、様々な用途で使用されています。
・自動車産業
ガスケット・シール・ダッシュボードパッドなど自動車の部品やアクセサリー
・電子機器産業
絶縁材・衝撃吸収材・防塵カバーなど性能を耐久性を確保する製品
・医療機器
ベッドパッド・フィルターなど、医療機器で使用するものや患者向けの製品
・工業用途
ベルト・パッキン・防振材など、産業機械や設備で使用される部品
・建設業
シール材・防水シートなど建設現場や建設物で使用される製品
・消費財
スポーツ用品のグリップや保護具、ゴム製のおもちゃや部品、ゴム手袋・キッチン用品など、日常生活で使用されている多くの製品
これらの用途は、ゴムはもちろん抜き加工の多様性と重要性を示しています。
まとめ
今回は抜き加工を中心に加工方法やゴム加工の工程・用途までご紹介しました。
大量生産に適している金型を使う方法から、もっとコストを抑えるための方法まで、抜き加工だけでも様々な加工方法があります。
抜き加工は、ゴム製品を高精度かつ効率的に製造するための重要な技術です。