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ゴムライニング加工について徹底解説!
ゴム練り加工
ゴムライニングとは、金属製の配管やタンクなどの表面にゴムを接着し、配管やタンクを保護する加工のことです。
このゴムライニングを施すことによってゴムの特性を活かして摩耗や腐食を防ぐほか、さまざまな利点があります。
今回はゴムライニングの基本的な知識からゴムライニングの種類、ゴムライニングで使われるゴムの種類や品質管理のための検査基準まで詳しくお伝えします。
ゴムライニングとは
コンクリートや金属に接着して表面を覆うことをライニングといいます。ゴムライニングは金属製の配管やタンクなどの表面にゴムを接着して、腐食や摩耗を防ぎ、保護する加工方法のことです。
ゴムライニングを利用する利点はさまざまです。
ゴムライニングを施すことで、酸やアルカリなどの腐食性物質に対して耐食性を保つことができます。
ほかにも摩耗や擦れに強いゴムの性質を利用して長時間の使用に耐えられるようになり、電気を通さないという性質は感電の危険を防ぐことにもつながります。
ゴムランニングで加工することで滑りやすい場所での使用も可能になり、振動や騒音を吸収して防音の効果を発揮します。
ゴムライニングの種類
ゴムライニングにはどのような種類があるのでしょうか。
使用されるゴムの種類や使用場面、接着方法、施工方法によってそれぞれ種類が異なります。ここからはゴムライニングの種類についてお伝えします。
スプレーライニング
スプレーライニングとは、液体状のゴムをスプレーとして噴射し、対象の金属や配管などに吹き付ける方法です。
利用場面やゴムの特徴によって天然ゴム、塩化ビニルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどを使い分け、スプレーライニングを施すことができます。
ゴムの種類ごとの特徴についてはこの後に詳しく説明します。
スプレー缶から吹き付ける簡単な作業であるため、手軽に施工でき、狭い場所などでも作業しやすく、繋ぎ目なくきれいなゴムライニングを施すことができます。
またスプレーで均一に吹き付けることができるため乾燥時間も短い傾向にあります。しかし塗膜が薄くなりやすいため使用場面が限られる場合があります。
ブラッシュライニング
ブラッシュライニングはブラシを使って対象物にゴムを塗り込む方法です。
ブラシを使って塗るため、比較的簡単に施工できるメリットがあります。また対象物の形状や場所を選ぶことなく作業を行うことが可能です。塗り込むことで継ぎ目がなくなり、継ぎ目からの劣化の心配もありません。
一方できれいに均一に塗り込むためには、熟練の技術が求められます。塗膜の厚さにばらつきがあると、そこから摩耗や腐食が始まる原因になります。さらに、他のゴムライニング方法に比べると乾燥時間が長くなります。
浸漬ライニング
浸漬ライニングとは金属をゴムの溶液に浸すことでライニングする方法です。
金属本体を溶液に浸すため、細かく複雑な形を持つ金属や配管にも均一に施工できるのが特徴です。
また複数回溶液に浸すことで、必要に応じて他のライニング方法よりも厚い塗膜を形成することもできます。摩耗が激しい場所やより頑丈さが求められる部分のライニングに向いています。
一方で、厚い塗膜ほど乾燥時間は長くなります。さらに施工作業は技術を要するものであり、熟練の技術者が行う必要があります。
巻付ライニング
巻付ライニングとは、シート状に作成したゴムを金属や配管に巻きつける方法です。シート状のゴムとの接着は接着剤を用いて行います。
ゴムシートを貼り付ける作業は比較的簡単に行うことができ、広い面積を持つ金属や大きい配管にも対応することができます。
一方で複雑な形状には向いておらず、他のライニング方法に比べると継ぎ目が多くなってしまうため、継ぎ目の被覆膜が薄く脆くなる傾向があります。
ゴムライニングシート
ゴムライニングシートは、ゴムでできたシート状の素材を金属や配管に接着します。シートの厚さ、硬さによってゴムの材質を使い分けることができ、厚さは0.5mmから20mm程度まで調整が可能です。
接着方法は接着剤を使うほか、両面テープやシートをはめ込む嵌合(かんごう)という方法もあります。
比較的簡単に施工することができ、形やサイズに合わせることで継ぎ目を少なくできるのが特徴です。ただし適切な接着方法を選ばなければ経年劣化の可能性が高まります。
ゴムライニング加工で使用するゴムの種類
ゴムライニングで使用されるゴムは、金属や配管のサイズや形、使用場面、目的によって種類を使い分ける必要があります。主な種類は天然ゴム、塩化ビニルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムです。
天然ゴムは弾性があり耐摩耗性や耐寒性に優れているのがメリットです。天然ゴムのゴムライニングはホースやベルト、コンベヤベルト、タンクなどに使用されます。
塩化ビニルゴムは耐油性や耐薬品性に優れている他、耐オゾン性も兼ね備えています。塩化ビニルゴムのゴムライニングは配管やポンプ、バルブ、化学プラント設備などに使用されます。
ウレタンゴムは耐摩耗性、耐衝撃性、耐切断性があるため、重負荷がかかる高残業、建設業、農業などの設備、用具のライニングにも向いています。ウレタンゴムを使ったゴムライニングはスクリューコンベヤやバンパーなどで使用されます。
シリコーンゴムは耐熱性、耐寒性、電気絶縁性があり、低温や高温な環境で使用されることが多いです。具体的には高温ダクトや冷熱機器、医療用カテーテルなどです。
ゴムライニング加工の工程
ここまでゴムライニングの加工方法による違いやゴムの種類はお伝えしました。では、ゴムライニングの加工はどのように行われているのでしょうか。
1.下地処理
ゴムライニングを施す基材表面の汚れやサビ、油脂などを除去することから始めます。さらにサンドブラストなどを使用して表面を粗く加工します。
2.プライマー塗布
ゴムライニング専用のプライマーを使用して、基材にプライマーを塗布します。
3.ゴム被膜形成
基材に合わせてゴム被膜の形成を行います。使用される場面や目的を踏まえて使用するゴムの種類、ゴムライニングの加工方法の選択をして、準備をします。
基材に合わせた形状にゴムを裁断する必要があればこの時点で行い、ゴムシートの接着やゴム溶液でのコーティングを施します。接着の場合はエアローラーなどで圧着させて基材とゴムとの間に入った空気を抜きます。
4.加硫
加硫とは、硫黄を使ってゴムに架橋を発生させることです。加硫釜に入れて高温高圧でゴムを硬化させ、蒸気やプレスを使って加硫します。
ゴムライニングを終えたら、検査を行い品質の確認をして、最終的には必要に応じて表面処理や塗装が行われ完成します。
ゴムライニングの検査基準
ゴムライニングの加工を終えたら、品質チェックを行ったうえで製品として完成します。製品の品質と安全を保ち、使用目的や使用条件に適した仕上がりかどうかを確認するうえで検査は欠かせません。
検査基準は主にゴムライニング工法協会(JRLMA)のほか、厚生労働省の食品衛生法、JIS規格の3つがあります。とくにJRLMAはゴムライニングの加工方法ごとに、それぞれ検査項目や検査方法が細かく決められています。
これらをクリアすることで、ゴムライニングを終えた製品として利用することができるようになります。
ここではどのようなチェック項目があるのかお伝えします。
外観検査
外観検査では、傷や亀裂、穴などがないかを検査します。他にも異物の付着やふくれていたり、ゴムが浮いてしまっている場所がないか目視で確認します。
厚さ検査
ゴムライニングの被覆膜の厚さを測定します。厚さの合否の判定は基準の厚さの+20%から-10%までと決められています。
硬さ検査
ゴムライニングの被覆膜の硬さを測定します。ライニングで使用した材料によって基準は異なりますが、軟性ゴムと硬性ゴムに分けてそれぞれの基準で判断されます。
強度検査
強度の検査では引張試験や接着強度試験を行います。引張試験では被覆膜の引張強度や伸縮度を調べ、接着強度試験では引張やせん断、剥離などの方法でゴムと基材の接着強度を調べます。
ほかにも被覆膜の圧縮強度や圧縮弾率性を調べる圧縮試験もあります。
耐性検査
耐性検査には耐薬品性、電気絶縁、耐候などの項目があります。
ゴムライニングの被覆膜をさまざまな薬品に浸けて検査し、ピンホールがあると電流が流れやすくなる性質を利用して、ピンホールと呼ばれる小さな穴がないかを検査します。
さらに耐候では被覆膜を紫外線や人工雨、オゾンにさらして天候や環境による劣化、摩耗がないか検査します。
まとめ
ゴムライニングは、金属や配管にゴムをコーティングし、腐食や摩耗から守る加工方法です。耐性が高くなることで安心安全に金属や配管が使えるだけでなく、耐久年数も上がります。
ゴムライニングで使用されるゴムの種類やライニングの方法は複数あり、使用場面や目的に応じた選択が欠かせません。
製品を安全かつ適切に使用するためにもそれぞれの特徴を理解したうえでゴムライニングを行っています。