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フッ素ゴムの硬度とその用途をご紹介
ゴムにはたくさんの種類があります。そのうちのひとつフッ素ゴムは、高温や油による劣化・薬品に対する優れた耐性を持つ合成ゴムの一種で、硬度に合わせて様々な産業分野の素材として利用されています。
この記事では、フッ素ゴムの種類・硬度・特性によってどのような用途に利用されているのかをご紹介します。
フッ素ゴムの硬度とShore A硬度
フッ素ゴムとは、フッ素原子Fが分子内に含まれている合成ゴムの総称で、他のゴムにはない圧倒的に優れた特性を持っています。
フッ素ゴムの硬度は、一般的にデュロメーターのタイプAという種類の測定器でゴム表面に針を突き刺し、その沈み込み量を測ることで求めます。
そして、デュロメータータイプAは米国のShore社が初めて製造したことから、測定した硬度の数値は「Shore A(ショアA)」という言い方で表現されます。他にも、 デュロメーターA・タイプAなどとも呼ばれることもあります。
Shore A硬度の値が大きいほどゴムは硬くなり、小さいほど柔らかくなります。
ゴムの硬度は0から100までの数値で表され、フッ素ゴムの場合、一般的に50~90 Shore Aの範囲で提供されていることが多いです。
具体的な硬度は、用途・製品仕様・設計によって変わります。
フッ素ゴムの硬度と種類
フッ素ゴムは、他のゴムより優れた特性を持っていることもあり、フッ素ゴムだからこそ可能な用途に使用されていることが多く、それぞれの用途にとってゴムの硬さも重要な要素になっています。
そして、フッ素ゴムの種類もまた重要な要素のひとつです。
代表的な4種類をご紹介しましょう。
FKM(フッ化ビニリデン系ゴム)
FKMはフッ化ビニリデンを使用した合成ゴムで、耐熱性・耐薬品性・耐油性・耐候性・耐摩耗性などに優れています。
フッ素ゴムの中で最も代表的な種類で知名度が高く、フッ素ゴム=FKMと認識されているほどです。フッ素ゴムという表記しかない場合は、FKMだと思っていいでしょう。
また、1957年に米国のデュポン社が初めてフッ素ゴムを製品化し、バイトン(Viton®)という登録商標で日本に輸入されたことから、今でもFKMはすべて「バイトン」だと思っている人も多いようです。
FEPM(テトラフルオロエチレンプロピレンゴム)
FEPMは、フッ素化された炭化水素で構成された合成ゴムで、耐熱性・耐薬品性・耐酸性に優れています。
化学構造の違いにより、一般的なフッ素ゴム「FKM」とは大きく違う部分もあり、耐アミン性・強アルカリ耐性・耐スチーム性の他、とても高い電気絶縁性をも有するフッ素ゴムです。
旭硝子株式会社(現在のAGC株式会社)によって市販された「AFLAS(アフラス)」という商標名が有名です。
FFKM(パーフルオロエラストマー)
FFKMは、1960年代にデュポン社が商標名「Kalrez(カルレッツ)」として製品化して有名になった完全フッ素化された合成ゴムです。
一般的なフッ素ゴムである「FKM」が耐えられない過酷な環境下でも使用できるゴムとして開発されました。
あらゆるゴムの中で最高の耐熱性・耐薬品性を持っており、特に高機能にこだわる用途で使用されている最高級グレードのフッ素ゴムです。
フッ素ゴムの硬度と用途
フッ素ゴムの硬さは、一般的に50~90 Shore Aの範囲で提供されていると先述しましたが、実際にはどれぐらいの硬さなのでしょうか。
・50 Shore A:中程度の硬さ
柔らかすぎず硬すぎない適度な弾力性を持つ硬さで、具体的な感触で例えると消しゴムや自動車のタイヤのトレッド部分の硬さに近いです。
・70 Shore A:やや硬め
ある程度の弾力性がありながらも、しっかりとした手応えが感じられる硬さです。具体的な感触で例えると自動車のタイヤの側壁の硬さに近いです。
・90 Shore A:非常に硬い
非常に硬くてほとんど弾力を感じません。プラスチックに近い感触で工業用ゴムの中でも特に硬い部類になります。
そして硬さはそれぞれ違いますが、共通しているのはシール・ガスケット・Oリングなどの用途で最も使用されているということです。
それは、他のゴムより熱・油・薬品など優れた耐性を数多く持つため、過酷な環境下でも使用可能な密封材として必要不可欠だということでしょう。
必要箇所に最適な硬さのフッ素ゴム製品を使用することで、気体・液体の漏れ防止や外部からの異物の侵入を防止するなど、安定して性能を発揮します。
これらのフッ素ゴム製品は、自動車産業・ロケットなど航空機産業・機械関連産業・食品産業・医療産業など、幅広い業界で使用されています。
まとめ
一般的にフッ素ゴムと言われているのはFKM(フッ化ビニリデン系ゴム)ですが、他にも代表的なフッ素ゴムは3種類あり、様々な用途に使用されています。
フッ素ゴムが非常に高い耐久性と性能を持つからこそ必要不可欠な素材になっている部分は大きいですが、フッ素ゴムの硬さもまた重要な要素となっています。