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2025.10.08 ゴムの分散

【白い粉の正体】ゴムの「ブルーム」はなぜ起こる? 製造現場でできる4つの対策

ゴムの分散 blog image

はじめに
ゴム製品の表面に、いつの間にか白っぽい粉が浮き出てきた経験はありませんか?
この現象は**「ブルーム(ブルーミング)」**と呼ばれ、製品の品質や外観にこだわる製造業の皆様にとっては悩みの種です。特に精密部品や消費者向け製品では、見た目の問題がそのままクレームにつながることもあります。
本記事では、このゴムのブルームのメカニズムを解説するとともに、製造工程の見直しから保管方法まで、貴社の品質管理に役立つ具体的な対策をご紹介します。
1. ゴムのブルームとは? そのメカニズム
ブルームの正体は「添加剤の結晶化」
ゴムは、主成分であるポリマー(生ゴム)に、機能性を高めるためのさまざまな添加剤(加硫剤、促進剤、老化防止剤、軟化剤など)を混ぜて作られます。
これらの添加剤は熱処理(加硫)の過程でゴム内部に均一に分散されますが、以下の要因により、一部がゴムの中に溶けきれず**「過飽和」**な状態になります。
1. 時間経過や温度変化によって、ゴム内部の添加剤が徐々に表面へ移動する。
2. 表面の空気(低温)に触れたことで結晶化し、白い粉として析出する。
これがブルーム現象の基本的なメカニズムです。液状の油分がにじみ出る場合は**「ブリード」**と呼ばれますが、メカニズムは基本的に同じです。
機能的には問題ない?
多くのブルームは外観上の問題であり、製品の強度や耐久性といった物性には影響しないことが多いです。
また、意図的に添加されたワックスや老化防止剤が表面に析出したブルームは、逆にゴムの表面を保護し、オゾンや紫外線による劣化(ひび割れ)を防ぐ役割を果たすこともあります。
しかし、精密機器のパッキンなどでブルームが剥がれて異物となったり、摩擦係数に影響を与えたりする場合があるため、対策は必須です。
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製造工程でブルームを防ぐ4つの対策

ブルームを根本的に防ぐには、製品が作られる**「配合」と「成形(加硫)」の段階**でのコントロールが最も重要になります。
対策1:配合剤の適正化(過剰添加の回避)
ブルームは、ゴムが「抱えきれない」ほどの添加剤が原因です。
• 配合量の見直し: ゴムが保持できる上限を超えていないか、添加剤の配合量を再検証します。特に、加硫促進剤や老化防止剤はブルームの主要因になりがちです。
• 溶解度の確認: ゴムと添加剤の**相溶性(溶けやすさ)**を確認し、相性の良い添加剤を選定します。
対策2:加硫(成形)条件の最適化
加硫が不十分だと、添加剤がゴムとしっかり反応・結合せず、すぐに遊離してしまいます。
• 適切な加硫時間・温度の設定: ゴムの種類と配合に合わせて、適正な加硫条件を厳守し、未加硫の状態を避けます。
• 練り(混練)工程の徹底: 添加剤がゴム全体に均一に分散するように、混練時間や投入順序を厳格に管理します。
対策3:冷却スピードの管理
加硫直後の急激な温度低下は、添加剤の急激な結晶化を促します。
• 徐冷(徐々に冷却)の導入: 成形後の製品をすぐに常温にさらすのではなく、段階的に温度を下げるなどの工夫により、ブルームの析出を抑制します。
対策4:保管環境の改善
製品が完成した後も、保管環境はブルーム発生に大きく影響します。
• 冷暗所での保管: 高温多湿な環境はブルームを促進します。温度変化が少なく、直射日光の当たらない冷暗所で保管します。
• 密閉を避ける: ビニールなどで製品を密閉しすぎると、揮発した成分が閉じ込められ、表面の濃度が高まって析出を促すことがあります。通気性も考慮した保管が望ましいです。
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ブルームが発生してしまった場合の対処法

ブルームが発生した製品を急遽使用する必要がある場合の対処法です。
1. アルコール拭き取り: 軽度のブルームであれば、イソプロピルアルコール(IPA)などを染み込ませた布で拭き取ることが可能です。ただし、時間の経過や環境変化によって再発する可能性があります。
2. 熱処理(再加硫): 製品をオーブンや恒温槽で再度加熱し、添加剤を一時的にゴム内部に溶かし込む方法です。材質によって最適な温度と時間が異なるため、少量で効果を検証してから実施する必要があります。
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まとめ:ブルーム対策は品質管理の基本
ゴムのブルームは避けられない現象と思われがちですが、「なぜこの製品でブルームが起きたのか」を突き詰めれば、必ず原因と対策が見つかります。
貴社の製品の信頼性を高めるためには、配合・成形から保管に至るまでの一貫した品質管理体制が不可欠です。
当社では、お客様の使用環境や求められる機能を詳しくヒアリングし、ブルームが発生しにくい最適なゴム材料の選定や配合設計をご提案しています。
ゴム製品の品質でお困りのことがあれば、ぜひ一度、当社にご相談ください。

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