フッ素ゴムで作られたOリングの特徴や用途を徹底解説

フッ素ゴムは合成ゴムの一種ですが、耐熱性や耐薬品性、耐油性、耐候性、電気絶縁性、ガスバリア性に優れており、自動車、食品加工、医療機器、航空宇宙業界などさまざまな場面で幅広く使用されています。

Oリングは必ずしもフッ素ゴムを用いて製造されているわけではありませんが、フッ素ゴムの特性を活かし、高い品質を保ったフッ素ゴムOリングが広く活躍しています。

今回はフッ素ゴムOリングの特徴や用途、規格について説明します。

フッ素ゴムで作られるOリングの特徴

フッ素ゴムとは、フッ素と炭素や酸素などの元素をかけ合わせて作られた合成ゴムです。

フッ素ゴムの耐熱性や耐薬品性、耐油性、耐候性、電気絶縁性、ガスバリア性は他の合成ゴムに比べても優れており、これらの特性を利用してフッ素ゴムのOリングを製造、使用することがあります。

Oリングとは円形の断面を持つゴム製品のことで、接合部分の密閉性を高めるために部品として使われることが多いです。

メリット

フッ素ゴムを素材としたOリングはマイナス20℃から260℃程度まで広い温度で使用可能で、温度の変化に関わらず優れた弾力性を発揮し、形状を維持することができます。

さらに強酸、強アルカリ、有機溶剤などさまざまな薬品に対して耐薬品性を示すほか、エンジンオイルや潤滑油などに対して耐油性もあります。

紫外線やオゾン、雨風などの悪天候にも耐えられる耐候性も十分です。

ほかにガスや水蒸気を通しにくい性質もあるため、密閉や真空状態を保つのに最適です。

デメリット

フッ素ゴムは他の合成ゴムに比べると高度な技術が必要となります。

また幅広い温度に耐性を持っていますが、非常に低い温度においては製品として脆くなりやすいです。

フッ素ゴムOリングの用途

フッ素ゴムを使ったOリングはその特性を活かしてさまざまな業界、ジャンル、製品の部品として使用されています。

自動車

高温、高圧になる燃焼ガスを封じ込めることができるので、エンジンオイル漏れを防ぐ部品に使用されたり、操舵性を保つためにパワーステアリングオイルを保持するために使用されたりします。

食品加工

食品衛生にも配慮しながら製品として高品質を保つため、ミキサーの軸受部分によく使用されます。

食品加工工場などで、食品を充填する際の充填機は漏れを防ぐためにOリングが活躍しています。

飲食物に使用するゴムには、衛生面や健康被害等を考慮し食品衛生法に適合した製品を提供しています。

医療機器

部品同士を密閉させ、滑らかな動きを実現させるために人工関節に利用されます。

さらに体内を検査、治療するために挿入されるカテーテルも、密閉性を保つためにフッ素ゴムOリングが利用されている場面のひとつです。

航空宇宙

航空機の燃料漏れをなくすための燃料タンクや、着陸時の衝撃吸収を目的として着陸装置にも使用されています。

フッ素ゴムOリングは様々な規格で製造されている

フッ素ゴムOリングは、サイズや硬さの異なる規格があります。これらの規格の特徴をもとに、用途にあったOリングを選ぶ必要があります。

規格はフッ素ゴムOリングの安全性や互換性、調達性を確保するために必要なものです。

JIS規格

JIS規格とは日本産業規格のことで工業製品の品質や安全性を確保するために制定されています。

JISでは一般用、自動車用、航空宇宙用で規格が分かれており、それぞれで寸法や高度、材質などが決められています。

日本の工業製品で主に使用されるのがJIS規格で、信頼性が高く、品質が安定しているのが特徴です。

また種類が豊富にあるため、用途やサイズにあったものを選ぶことができます。

ASTM規格

ASTM規格とは米国材料試験協会が制定した規格です。フッ素ゴムOリングの規格と、硬度試験方法に関する規格が制定されています。

アメリカや欧州で広く使用されている規格で、JIS規格よりも厳しい性能要件を満たしていることもあるため、用途によってはASTM規格を満たしたフッ素Oリングを選択することも必要です。また研究開発の用途によく使用されます。

ISO規格

ISO規格とは、国際標準化機構が制定した国際規格です。フッ素ゴムリングの規格と硬度試験方法に関する規格が制定されています。

ISO規格は世界で広く使用されており、日本でも業界や製品によってこの規格を導入しています。

JIS規格やASTM規格に比べて厳しい性能要件を満たしている必要があり、性能としても非常に高く、安全性が担保されています。

国際的に使用される製品や、国際的に取引されている製品にISO規格部品が使われていることが多いです。

まとめ

今回は合成ゴムの一種であるフッ素ゴムを使用したゴム製品、Oリングについてお伝えしました。

フッ素ゴムの特性を活かし、さまざまな場面で使用されていることがおわかりいただけたかと思います。

同じフッ素ゴムOリングであっても、それぞれどんな規格を満たしているかで硬度やサイズが異なりますので、使用の際には規格の確認も欠かさずしています。