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ゴム成形とは?基礎知識を徹底解説!
品質の高いゴム製品を製造するためには、ゴム成型の工程が非常に重要です。
今回は、ゴム成型の種類からゴム成型で重要な要素まで基礎知識を徹底的に解説し、ゴム成型で起こりがちなトラブルをご紹介します。
ゴム成形とは
ゴム成型は、混ぜ練り合わせた原材料のポリマーと配合剤を特定の形状に加工する作業です。
製造するゴム製品の特性に合わせて、ゴムの厚さやサイズを調整します。
また、ゴム成型は、オープンロールなどの機械を使用して作業を行います。
オープンロールは2本の大きなロールで構造された機械で、手作業で作業する際には手を挟み込まないように注意が必要です。
ゴム成形方法の種類
ゴム成型方法には、次の4つの方法があります。
・トランスファー成型
・コンプレッション成型
・インジェクション成型
・押出成型
それぞれの成型方法の種類について詳しく見ていきましょう。
トランスファー成型
トランスファー成型(トランスファー成形)は、トランスファープレスという機械を使用したゴム成型方法です。
ポットと呼ばれる部分に材料を仕込み、圧力を掛けゲートからキャビティ部に材料を流し込み成形します。
直圧成形金型と比較して厚み方向の寸法精度を出しやすい点が特徴です。また仕込み材の重量管理幅や形状管理幅が直圧成形金型より広いです。一方で材料のロスは多いです。
コンプレッション成型
コンプレッション成型は、一般的なゴム成型方法の一つです。
加熱・加圧するシンプルな方法でゴムを特定の形状に加工します。
コンプレッション成型はコストの低さが特徴的で、様々な形状のゴム製品を製造することができます。
具体的には、シールや振動吸収剤などのゴム製品の成型に使用されることが多いです。
ただ、ゴムを複雑な形に成型することはできないので、精密機器などに使用されるゴム製品の製造はおすすめできません。
インジェクション成型
インジェクション成型は、ゴムの材料を高圧で射出し、専用の成型を使ってゴム製品を形成するゴム成型方法です。
材料を金型に射出してくれるので手間が省けると共に複雑な形状のゴム製品の大量生産に最適です。
押出成型
押出成型は、熱や圧力でホース状の長い製品等を加工するゴム成型方法です。
専用の押出機に材料を供給すれば、口金の形に合わせて押出作業を行うことができます。
そのため、大量生産や長尺で筒状のゴム製品の製造に最適です。
ゴム成形において重要な要素
ゴム成型において、次の3つの要素が非常に重要です。
・金型構造
・材料選定
・成形条件
それぞれの要素を詳しく解説します。
金型構造
金型構造は、ゴム製品の形状や寸法を左右し、ゴム製品の品質や生産性向上に直結する重要な要素です。
特に、押出成型を行う際に金型構造がずれていた場合、完成したゴム製品の品質が低下するリスクがあります。
材料選定
ゴム製品は様々な用途や環境条件で使用されるため、耐熱性・耐寒性・耐摩耗性が必要です。
ゴム製品の特性に応じて、材料を選定することで品質を向上させることができます。
また、材料が適切な成型性能を持っていれば、スムーズにゴム成型プロセスが進みます。
そして、コンプレッション成型や圧縮成型でコストを抑えたい場合は、材料選定で更に製造コストの最適化に効果的です。
成形条件
成型条件は、ゴム成型の製品形状や寸法の精度を左右します。
特に、トランスファー成型で複雑な形状のゴム製品を成型する場合は、成型条件を正確に制御することが非常に重要です。
また、成型条件が最適な場合は、ゴム成型の生産性や効率性を向上させることができます。
万が一、成型条件が悪い場合は、品質に悪影響を及ぼすリスクがあるので注意しましょう。
ゴム成形に使われる離型剤
ゴム成型に使われる離型剤には、フッ素系離型剤とシリコン系離型剤の2種類があります。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
フッ素系離型剤
フッ素系離型剤は、表面処理剤の一つであり非常に滑らかで優れた耐摩耗性を持つ化学物質です。
フッ素系離型剤を使用することで、成型したゴム製品を機械から簡単に取り外すことができます。
また、フッ素系離型剤には高温耐性があり、ゴム成型の加熱過程で製品を熱から守る役割を担います。
しかし昨今はPFAS規制の問題もあり、使用に関して注意が必要です。
シリコン系離型剤
シリコン系離型剤は、表面処理剤の一つであり、シリコーンを主成分とする化学物質です。
ゴム成型で使用する機械の金型表面に塗布することで、成型したゴム製品を機械から簡単に取り外すことができます。
シリコンゴムの離型にはシリコンゴムと相溶してしまうため不向きです、また含有するシロキサンが接点不良を起こす原因となるので電子関係部品などの離型剤には不向きです。
また、フッ素系離型剤と同様の高温耐性に加えて、耐薬品性を持つことが特徴的です。
ゴム成型では、原材料であるポリマーに製品の品質を向上させる配合剤を混ぜ練り合わせているので、耐薬品性をもつフッ素系解離剤を使用することで安定した品質を維持することができます。
ゴム成形のトラブル
ゴム成型の工程では、次の4つのトラブルに注意する必要があります。
・空洞
・バリ
・ヒケ
・寸法精度不良
万が一、これらのトラブルが発生した場合は、完成したゴム製品の品質が低下する可能性があるので注意しましょう。
では、ゴム成型で起こりがちな4つのトラブルについて詳しく解説します。
空洞
空洞は、ゴム成型で製品に空気や気泡が入り込み、見た目や品質に悪影響を及ぼします。
空洞が発生する原因として以下の3つが挙げられます。
・ゴム練り時に十分な空気除去が行えていなかった
・ゴム成型時に圧力が足りなかった
・ゴム成型時に温度が一定ではなかった
空洞の原因になりがちな要因を無くせば、トラブルを回避することができるでしょう。
バリ
バリは、ゴム成型の途中で金型の隙間や溝から溢れたゴムが余分に付着し、成型品の周囲に不必要な余白が形成される現象です。
バリが発生する原因として以下の3つが挙げられます。
・ゴム成型時の圧力調整不良
・ゴム成型時の成型温度不適切
・成型する機械の金型メンテナンス不良
まず、成型圧力が不十分な場合、ゴムが金型の隙間や溝に流れやすくなります。
次に、成型温度が低いと、ゴムが適切に硬化しません。
最後に、金型メンテナンス不良で密封性や精度が損なわれるとバリが発生しやすいです。
ヒケ
ヒケは、成型したゴム製品の表面にくぼみや沈みが生じる現象で、完成したゴム製品の見た目や品質を損なうリスクがあります。
ヒケの原因として以下の3つが挙げられます。
・ゴム成型する機械にゴムの充填が不十分
・冷却不足
・不適切な材料選定
まず、機械にゴムの充填が不十分だった場合、密度差が生じてヒケが発生します。
次に、ゴム成型時の冷却が不十分だった場合、ゴムが適切に硬化しません。
最後に、材料選定が不適切だった場合、ゴム製品の品質が落ちて、見た目が悪くなる可能性があります。
寸法精度不良
寸法精度不良は、成型したゴム製品の厚さや寸法が設計と異なるトラブルです。
寸法精度不良の原因として以下の3つが挙げられます。
・金型の寸法不良
・材料やゴム成型条件が不適切
・成型プロセスの寸法不良
まず、金型やそもそもの成型プロセスの寸法不良が発生すると、成型したゴム製品の厚さや寸法にもずれが生じます。
特に、オープンロールを使用して人の手でゴム成型を行う場合は、ゴム製品の設計を確認するだけでトラブルのリスクが軽減させられます。
まとめ
ここまで、ゴム成形の基礎知識について詳しく解説してきました。
ゴム製品の設計に応じてゴム成型の方法が異なり、ゴム成型で重要な要素を抑えるとよりスムーズにゴム成型プロセスを進めることができます。
また、ゴム成型時に起こりがちなトラブルも、原因を抑えて事前に対策、回避することができます。